佐藤様邸は、築25年の鉄骨造3階建てです。今までに外壁の塗り替えや屋根の防水工事は行っていますが、内部は建てた当時のままで本格的なリフォームは今回が初めてでした。

建築当時はお施主様のご両親とお子様2人の6人暮らしで、二世帯で生活できる間取りになっていました。その後、ご両親がいなくなり、子供2人も成長して出て行かれ、2人だけの生活に変わりました。そこで既存の住宅に様々な問題点が出てきました。例えば、小部屋に区切られ使いにくい間取り、寒い浴室とトイレ、断熱が悪く冷暖房の効かないリビング、結露で壁にカビが生えた寝室、必要以上に高い光熱費等々…言い出したらきりがない状態でした。それを細かくヒアリングさせていただき、今後の生活に合わせたプランをじっくりと練り上げていきました。

まず、お2人が老後を安全で安心して生活できることを最重要点に考え、間取りの変更と建物全体の断熱改修を行うことにしました。間仕切りを少なくして、建物内部に温度差ができにくい間取りに変更し、ウレタンフォームの吹き付け断熱を行い、2重サッシにして建物の断熱力を大幅UPさせました。高気密住宅になるため、24時間の換気計画も入念に行いました。これによって結露の発生がなくなり、エアコンが効率良く効くようになります。設備はオール電化にして安全性と使いやすさを向上し、年間の光熱費も安くなるようにしました。

次に、自然素材を積極的に使う提案をさせていただきました。無垢材のフローリングと漆喰（しっくい）の塗り壁が、心と体の安らぐ空間を造り出してくれます。奥様が濃い茶色の木目がお好きだったので、インテリア全体をウォールナット色でコーディネイトしました。家具とキッチンは弊社オリジナルで、天然木ウォールナットで作成しました。リビングの天井にも木の化粧梁を取付けてアクセントにしてあります。

今回のリフォーム工事は「リノベーション」と言った方がいいかもしれません。リノベーションとは、既存の建物に大規模な改修工事を行い、建物の経年に伴って時代に合わなくなった機能や性能を、建て替えずに新築時の機能・性能以上に向上させることです。今回の佐藤様邸では、これからの時代に合ったとても良い仕事ができたと思っております。